大麦の天気対策と畑で見る所
穀類・生育期 5段階・天気の条件 12件
オオムギ(大麦)が天気で受けやすい影響を、生育期ごとに「こういう天気が続いたら → 起きやすいこと → 見に行く所」の順で並べています。
気象からは「環境」「水分」「生育フェーズ」の段を主に判断する。根圏(土壌水分・排水状態・地温)は気象からは推定に留まり、現地確認が必要。オオムギは基本的に露地作物であり、施設(ハウス育苗等)を用いる場面は限定的。施設を用いる場合、外気象は参考値で内部環境が支配的である点は他作物と同様に扱う。
播種・出芽期
播種後に連続降雨や停滞水で圃場が過湿になる(降水量・連続降雨日数の増加)
大雨・長雨
- 起きやすいこと
- オオムギはコムギに比べ耐乾性はあるが湿害には弱く、出芽不良・苗立ちのムラ・初期生育の停滞が出やすい条件。
- 見に行く所
- 圃場の停滞水・排水口の詰まり、出芽率・出芽の揃い、根の伸長状況。
- 露地と施設
- オオムギは露地が基本で降雨・排水の影響を直接受ける。育苗等で施設を用いる場合は外気象は参考値にとどまり、かん水管理が支配的。
- 確かさ
- データ由来(「湿害には弱い」)。湿害の程度は圃場の排水条件・品種で差があり、気象は誘発条件を示すに留まる。
播種期に低温が続く(日最低気温が低く出芽適温を下回る状態が続く)
低温
- 起きやすいこと
- 出芽の遅れ・不揃いが出やすい。生育適温15〜20℃からの乖離が大きいほど初期生育が緩慢になりやすい。
- 見に行く所
- 出芽までの日数、苗の生育の揃い。
- 露地と施設
- 露地は外気温に直接左右される。施設利用時は保温管理で緩和余地がある。
- 確かさ
- データ由来の生育適温(15〜20℃)を根拠とした一般的知見。品種の早晩性・地域の播種期慣行で要補正。
越冬・春化期
厳冬期に強い低温・霜が続く
霜・凍害低温
- 起きやすいこと
- 凍害・凍上により株の傷みや生育停滞が出やすい条件。
- 見に行く所
- 株元の浮き上がり(凍上)の有無、葉の褐変・枯死の範囲。
- 露地と施設
- 露地作物であり外気象の影響を直接受ける。積雪の有無・被覆(麦踏み等の作業自体は判断対象外)で差が出る。
- 確かさ
- 一般的知見。品種の耐寒性・地域の越冬環境で差が大きく、気象からは推定に留まる。
融雪期に降雨が重なり圃場が過湿になる
大雨・長雨
- 起きやすいこと
- 排水不良な圃場では春先の湿害・根の傷みが出やすい条件。
- 見に行く所
- 融雪後の停滞水、株元の変色・根の状態。
- 露地と施設
- 露地。排水路・明渠の状態で差が出る(現地確認が必要)。
- 確かさ
- 一般的知見+データ由来(湿害に弱い特性)。
分げつ・茎立期
高温・少雨が続く
高温・猛暑大雨・長雨乾燥・少雨
- 起きやすいこと
- 乾燥ストレスに加え、アブラムシが増殖しやすい条件になりやすい。オオムギではアブラムシが大麦縞萎縮病とは別に大麦萎縮病(BYDV)を媒介するため注意(データ:「アブラムシ(BYDV媒介)」)。
- 見に行く所
- 葉裏・新葉のアブラムシ寄生、葉色・生育の停滞。
- 露地と施設
- 露地。风通し・圃場周辺の雑草管理で発生状況が変わる(現地確認が必要)。
- 確かさ
- データ由来(アブラムシ=BYDV媒介)。発生を確定するものではなく、気象は「増殖しやすい条件」を示すに留まる。
強風を伴う多雨が続く
大雨・長雨強風・台風
- 起きやすいこと
- 茎が軟弱に伸びている場合や過繁茂な株では倒伏が出やすい条件。
- 見に行く所
- 株の傾き・倒伏の有無、茎径・節間の状態。
- 露地と施設
- 露地。半矮性品種か否か、播種量の多寡は現地確認が必要。
- 確かさ
- 一般的知見。倒伏は気象だけでなく品種・播種量・施肥に強く依存し、気象は誘発条件の一つ。
出穂・開花期
開花期に降雨や高湿度(相対湿度85%以上目安)が続く
大雨・長雨高湿度・結露
- 起きやすいこと
- 赤かび病(Fusarium)が出やすい条件(データ:「赤かび病=開花期防除」)。かび毒(DON・NIV)の蓄積につながる恐れがある。
- 見に行く所
- 穂の変色(ピンク〜橙色の変色)、開花期前後の降雨実績・圃場の乾き具合。
- 露地と施設
- 露地が基本で降雨を遮断できないため、開花期の降雨予報を踏まえた事前確認が重要。
- 確かさ
- データ由来。赤かび病の発生・かび毒蓄積を気象だけで確定することはできず、収穫物の検査等の現地・実測確認が必要。
多湿・曇天(日照不足を伴う)が続く
高湿度・結露日照不足
- 起きやすいこと
- 雲形病(Rhynchosporium)・網斑病・さび病といった多湿環境で出やすいとされる病害が出やすい条件。
- 見に行く所
- 葉の斑点・病斑の有無と広がり、下葉からの発病状況。
- 露地と施設
- 露地。風通し・圃場密度は現地確認が必要。
- 確かさ
- 一般的知見(データに病害名の記載はあるが、発生と気象条件の対応関係の数値根拠はなし)。発生を確定しない。
高温・少雨で乾燥した状態が続く
高温・猛暑乾燥・少雨
- 起きやすいこと
- うどんこ病は過繁茂な株で葉群内が多湿になった場合に出やすいとされ、乾燥単独では発生しにくいが、乾湿の変動が大きい年で注意が必要な条件。
- 見に行く所
- 葉表面の白い粉状のカビの有無、株の茂り具合。
- 露地と施設
- 露地。
- 確かさ
- 一般的知見。気象からは推定に留まる。
登熟・収穫期
登熟後半〜収穫期に強風を伴う多雨が続く
大雨・長雨強風・台風
- 起きやすいこと
- 倒伏が出やすい条件。倒伏すると登熟の乱れ・穂発芽・収穫ロスにつながりやすい。
- 見に行く所
- 株の倒伏状況、穂の向き・地面との接触。
- 露地と施設
- 露地。
- 確かさ
- 一般的知見。
収穫適期前後に降雨が続き穂・圃場が乾きにくい
大雨・長雨
- 起きやすいこと
- 穂発芽(発芽率低下)や、乾燥・収穫の遅れによりかび毒リスクが高まりやすい条件。ビール麦では整粒歩合・発芽力(麦芽品質)の低下につながりやすい(データ:「過乾燥/損傷回避」「低水分保管でかび毒回避」の裏返しとして、収穫前の多湿・遅延はリスク)。
- 見に行く所
- 穂上での発芽の有無、子実の外観(変色・カビ臭)、刈り遅れの有無。
- 露地と施設
- 露地。収穫後の乾燥・保管は施設(乾燥機・貯蔵庫)側の管理領域で、気象判断の対象外。
- 確かさ
- データ由来(品質・かび毒に関する記述)+一般的知見。品質評価は気象だけでは確定できず、収穫物の実測が必要。
登熟期に高温・適度な乾燥が続く(強い高温障害的な水準ではない範囲)
高温・猛暑乾燥・少雨
- 起きやすいこと
- 登熟が進みやすく、収穫適期の判断がしやすい条件。ただし極端な高温・乾燥は登熟不良につながる可能性があり、程度の見極めは現地確認が必要。
- 見に行く所
- 子実水分の推移、稈・穂の黄化の進み具合。
- 露地と施設
- 露地。
- 確かさ
- 一般的知見。品種・作型で適期の目安は補正が必要。
天気が重なると起きやすいこと
開花期の高湿度・連続降雨+登熟期の多雨
赤かび病(かび毒蓄積)と収穫期の穂発芽・品質低下が連続して発生しやすい年は特に警戒。開花期以降の降雨実績・予報を踏まえ、収穫時期の判断材料として現地の穂・子実の状態を確認する。
高温少雨(分げつ〜出穂期)+アブラムシ増殖
乾燥ストレスとBYDV媒介リスクが重なりやすい。葉色・生育の停滞とアブラムシ寄生の有無を合わせて確認する。
強風+多雨(登熟期)
倒伏と、それに伴う登熟不良・穂発芽が同時に起きやすい。株の傾きと穂の状態を確認する。
越冬期の低温+融雪期の多雨
凍害と春先の湿害が連続して株を傷めやすい。越冬明けの生育の揃いを確認する。
このデータは気象条件から「出やすい状態」を示すもので、病害・障害・品質低下の発生を確定しない。用途(ビール麦・六条・裸麦)によって品質目標(タンパク・整粒・発芽力)の向きが異なるため、気象由来のリスク判断は用途区分と合わせて確認する必要がある。数値は品種・地域・作型で補正が必要。防除に触れる場合も、農薬は登録内容を確認のうえ判断すること。
自分の畑の大麦を、今日の天気と写真で見てもらうなら
AGRIX AI は、作物の写真から病気・害虫・生理障害を見分け、地域の天気予報と生育の段階を重ねて「今日なにを見に行くか」を出すアプリです。このページの内容は、アプリが判断に使っているデータの一部です。
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天気から探す
このページについて AGRIX AI に入っている作物の「天気への反応」と「病害虫の出やすい条件」のデータを、そのまま読みやすく並べたものです。数値は一般的な目安で、品種・地域・作型で変わります。病害虫の発生を言い当てるものではなく、「出やすい条件」と「見に行く所」を示しています。
農薬を使うときは、ラベルの登録内容と、お住まいの県の病害虫防除所が出す情報・防除指針に従ってください。
作り方:AGRIX AI のデータ(作物66種の天気への反応・22作物の病害虫の条件)から、プログラムで1作物1ページに並べています。文章や数値は足していません。データを直すと、このページも作り直します。
作成:北島真史(RAIXEN・AGRIX AI 開発)。元専業農家(ブロッコリー4ha・ネギ・ズッキーニほか10年)、農業資材店で土壌診断と肥料・農薬の相談を担当、今は米6ha・ネギの兼業農家。著書『直売所で儲かる心理設計』。