サクランボの天気対策と畑で見る所
果樹・茶・生育期 4段階・天気の条件 12件
サクランボが天気で受けやすい影響を、生育期ごとに「こういう天気が続いたら → 起きやすいこと → 見に行く所」の順で並べています。
気象からは「環境」「水分」「生育フェーズ」の段を主に判断する。受粉樹の適合(S遺伝子型)・台木・仕立て・根圏(土壌水分・排水状態)は気象からは推定に留まり、現地確認が必要。施設栽培(雨よけハウス・レインカバー等)では外気象は参考値で、内部環境(換気・かん水・遮光)が支配的。
開花期
開花期に日最低気温が0℃前後まで下がる日がある(晩霜)
霜・凍害
- 起きやすいこと
- 開花中の花・幼果が凍害を受け着果不良になりやすい。サクランボは開花が早く、晩霜の影響を受けやすい。
- 見に行く所
- 花の雌しべの変色・黒化、幼果の脱落の有無、朝の圃場の霜の状況。
- 露地と施設
- 露地は霜害を直接受ける。防霜ネット・雨よけハウスがある場合は軽減余地がある。加温設備の有無を確認。
- 確かさ
- データ由来(低温要求あり・開花が早く晩霜に弱い)。品種・開花期の早晩で差がある。
開花期に曇天・低温が続き、降雨や強風で訪花昆虫の活動が鈍る
低温大雨・長雨強風・台風日照不足
- 起きやすいこと
- 受粉樹が近くにあっても訪花不足で着果不良になりやすい条件。多くの品種は自家不和合性で、受粉樹(S遺伝子型が適合するもの)が必須。
- 見に行く所
- ミツバチ等訪花昆虫の飛来の有無、開花房ごとの着果率。
- 露地と施設
- 施設は人工授粉・送風で補える余地がある。露地は天候依存度が高い。
- 確かさ
- 一般的知見。受粉樹の適合可否そのものは気象からは判断できず、現地・園地情報の確認が必要。
開花期に降雨・高湿度が続く
大雨・長雨高湿度・結露
- 起きやすいこと
- 灰星病(Monilinia)による花腐れが出やすい条件。
- 見に行く所
- 花や新梢のしおれ・褐変、ヤニ状の分泌の有無。
- 露地と施設
- 雨よけハウス・レインカバーは花腐れリスクを大きく軽減できる。露地は連続降雨で発生条件が高まりやすい。
- 確かさ
- データ由来(灰星病は開花〜成熟期に発生)。発生を確定するものではなく、防除に触れる場合も登録内容を確認のうえ判断すること。
幼果・果実肥大期
低温が続き生育が停滞する
低温
- 起きやすいこと
- 果実肥大の遅れ、成熟期のずれ込みが起きやすい。
- 見に行く所
- 果実肥大の進み具合、果房ごとの生育のそろい。
- 露地と施設
- 施設は加温で緩和できる余地がある。露地は気温推移に依存。
- 確かさ
- 一般的知見。
高温・乾燥に強風が重なり土壌が乾く
高温・猛暑乾燥・少雨強風・台風
- 起きやすいこと
- 水分ストレスによる果実肥大不良・小玉化が出やすい条件。
- 見に行く所
- 葉のしおれの回復状況、株元の土壌の乾き具合。
- 露地と施設
- 露地は降雨に依存しやすい。施設は点滴かん水など安定した水分管理で緩和しやすい。
- 確かさ
- データ由来(成熟期の急な水分変動を避け、点滴で安定させる)+一般的知見。
降雨が続き圃場が過湿になる(排水不良)
大雨・長雨
- 起きやすいこと
- 根の生育障害・樹勢低下が起きやすい条件。サクランボ(Prunus属)は過湿に弱い。
- 見に行く所
- 圃場の停滞水の有無、新梢の伸び・葉色。細根の状態は掘り取り等の現地確認が必要。
- 露地と施設
- 露地は降雨の影響を直接受ける。施設はかん水管理次第で回避しやすい。
- 確かさ
- データ由来(排水最優先)。根圏の状態そのものは気象からは推定に留まり、現地確認が必要。
成熟期(収穫前)
成熟期(着色〜収穫前)に降雨、特に連続降雨やにわか雨がある
大雨・長雨
- 起きやすいこと
- 裂果が出やすい条件。成熟期の降雨で果実が吸水し裂果することは、サクランボ栽培で最重要かつ世界共通の課題とされる。
- 見に行く所
- 果実表面の亀裂の有無、裂果の発生率。
- 露地と施設
- 雨よけハウス・レインカバー・高トンネルは裂果対策として最も確実とされる。露地は降雨の影響を直接受ける。
- 確かさ
- データ由来(裂果対策=最重要・世界共通課題)。台木・品種により裂果感受性に差がある(例:Gisela6系はGisela5系より裂果しにくい報告あり)。
乾燥した状態のあとに降雨やかん水が入り、土壌水分が急変する
大雨・長雨乾燥・少雨
- 起きやすいこと
- 果実が急激に吸水し裂果を助長しやすい。カルシウムの移行不足も重なりやすい条件。
- 見に行く所
- 裂果の発生パターン(急な降雨後に増えていないか)、株元の土壌の乾湿ムラ。
- 露地と施設
- 施設は点滴かん水で水分を安定化しやすい。露地は降雨で水分が急変しやすい。
- 確かさ
- データ由来(カルシウム・水分の急変回避)。根圏EC・かん水設計は現地確認が必要。
成熟期に高温・高湿度(降雨や連続した高湿度)が続く
高温・猛暑大雨・長雨高湿度・結露
- 起きやすいこと
- 灰星病(幼果菌核病)による腐敗、オウトウショウジョウバエ(SWD)の産卵活動が活発化しやすい条件。SWDは成熟果に産卵する世界的な大害虫とされる。
- 見に行く所
- 果実の軟化・カビの発生、果面の小さな産卵痕や急な軟化。
- 露地と施設
- 施設は換気で湿度管理がしやすい。露地は連続降雨で発生条件が高まりやすい。
- 確かさ
- データ由来。気象は「出やすい条件」を示すに留まり、発生の確定には現地確認が必須。防除は登録内容を確認のうえ判断すること。
強日射に高温が重なる
高温・猛暑
- 起きやすいこと
- 果実の日焼け・軟化が出やすい。
- 見に行く所
- 直射が当たる面の変色・軟化、樹冠内側と外側での差。
- 露地と施設
- 施設は遮光で調整しやすい。露地は摘葉のしすぎによる果実露出に注意。
- 確かさ
- 一般的知見。
収穫期
収穫期に高温が続く
高温・猛暑
- 起きやすいこと
- 果実の軟化・追熟が早まり日持ちが低下しやすい。軟化・軸枯れが早く進むとされ、収穫後の速やかな予冷・コールドチェーン管理の必要性が高まる。
- 見に行く所
- 収穫果の硬さ、果柄(軸)の状態。
- 露地と施設
- 露地・施設とも収穫後の温度管理が鍵。気象は収穫適期を判断する材料の一つ。
- 確かさ
- データ由来(軟化・軸枯れが早い=コールドチェーン厳守)。
収穫期に降雨が重なる
大雨・長雨
- 起きやすいこと
- 裂果の進行、収穫適期果実の日持ち低下、収穫作業の遅れによる過熟やSWD被害の拡大が起きやすい条件。
- 見に行く所
- 圃場の滞水、収穫果の傷み・裂果の増加。
- 露地と施設
- 施設は収穫時期の降雨影響を回避しやすい。露地は降雨に合わせた収穫判断が要る。
- 確かさ
- データ由来+一般的知見。
天気が重なると起きやすいこと
開花期の晩霜+その後の低温多湿
着果不良と灰星病(花腐れ)の発生条件が同時に重なりやすい。開花期は特に警戒。
成熟期の連続降雨→急な晴天
裂果とカルシウム移行不足が重なりやすい。裂果した果実は灰星病・SWDの侵入口にもなりやすく、被害が広がる条件になりやすい。
成熟期の高温多湿の持続
灰星病とSWDの発生条件が同時に重なりやすく、収穫期に向けて最も警戒すべき局面。
このデータは気象条件から「出やすい状態」を示すもので、着果不良・裂果・病害虫の発生を確定しない。受粉樹の適合(S遺伝子型)・台木・仕立て・根圏の状態は気象からは推定に留まり、現地確認が必要。施設では内部環境が支配的で外気象は参考値。数値・感受性は品種・台木・地域・作型で補正が必要。防除に触れる場合も、農薬は登録内容を確認のうえ判断すること。
自分の畑のサクランボを、今日の天気と写真で見てもらうなら
AGRIX AI は、作物の写真から病気・害虫・生理障害を見分け、地域の天気予報と生育の段階を重ねて「今日なにを見に行くか」を出すアプリです。このページの内容は、アプリが判断に使っているデータの一部です。
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このページについて AGRIX AI に入っている作物の「天気への反応」と「病害虫の出やすい条件」のデータを、そのまま読みやすく並べたものです。数値は一般的な目安で、品種・地域・作型で変わります。病害虫の発生を言い当てるものではなく、「出やすい条件」と「見に行く所」を示しています。
農薬を使うときは、ラベルの登録内容と、お住まいの県の病害虫防除所が出す情報・防除指針に従ってください。
作り方:AGRIX AI のデータ(作物66種の天気への反応・22作物の病害虫の条件)から、プログラムで1作物1ページに並べています。文章や数値は足していません。データを直すと、このページも作り直します。
作成:北島真史(RAIXEN・AGRIX AI 開発)。元専業農家(ブロッコリー4ha・ネギ・ズッキーニほか10年)、農業資材店で土壌診断と肥料・農薬の相談を担当、今は米6ha・ネギの兼業農家。著書『直売所で儲かる心理設計』。