じゃがいもの天気対策と畑で見る所
根菜類・生育期 5段階・天気の条件 14件・病害虫 7件
ジャガイモ(じゃがいも)が天気で受けやすい影響を、生育期ごとに「こういう天気が続いたら → 起きやすいこと → 見に行く所」の順で並べています。
気象からは「環境」「水分」「生育フェーズ」の段を主に判断する。地温・土壌水分・根圏(土壌硬度・EC・pH)は気象からは推定に留まり、現地確認が必要(ジャガイモは塊茎形成・肥大が地温の影響を強く受けるが、地温そのものは気象データからは把握できない)。施設栽培(トンネル・ハウス)では外気象は参考値で、内部環境(換気・被覆・かん水)が支配的。
萌芽期
植付後、気温の低い日が続く(日最低・日最高とも低め)
- 起きやすいこと
- 萌芽遅延。萌芽適温は15〜20℃が目安とされ、これを下回る低温が続くと萌芽が揃いにくい。
- 見に行く所
- 植付から萌芽までの日数、萌芽の揃い、種イモの状態(腐敗・変色の有無)。
- 露地と施設
- 露地はマルチ・トンネルの有無で地温確保に差が出る。施設は被覆・保温管理で低温の影響を緩和しやすい。
- 確かさ
- データ由来(萌芽適温15〜20℃)。地温は気象からは推定に留まり、現地(マルチ下・畝内)での確認が必要。
連続降雨や高降水量で圃場が過湿になる
大雨・長雨
- 起きやすいこと
- 種イモの腐敗・黒脚病(排水不良・過湿に関連)が出やすい条件。萌芽前後は傷口からの感染に弱い。
- 見に行く所
- 畝間・株元の停滞水の有無、種イモ・萌芽茎の変色や軟化、異臭。
- 露地と施設
- 露地は降雨の影響を直接受け、排水対策(高畝・明渠)の有無で差が出る。施設は降雨の影響を受けにくいがかん水過多に注意。
- 確かさ
- データ由来(黒脚病=排水不良、軟腐=過湿+傷口)。発病を確定するものではなく、気象は「出やすい条件」を示すに留まる。
茎葉伸長期
遅霜・低温(日最低気温が0℃前後まで下がる、または霜が観測される)
霜・凍害低温
- 起きやすいこと
- 地上部(茎葉)の凍害。生育適温(地上部)は18〜22℃が目安で、これを大きく外れる低温は生育停滞につながりやすい。
- 見に行く所
- 新葉・茎の黒変やしおれ、朝の圃場の霜の有無、生育停滞(草丈の伸びの鈍化)。
- 露地と施設
- 露地は霜害を直接受ける。培土の有無・トンネル被覆で差が出る。施設は加温・被覆で回避余地が大きい。
- 確かさ
- 一般的知見+データ由来(生育適温18〜22℃)。品種・地域の早晩性で差がある。
強風・最大瞬間風速が大きい日が続く
強風・台風
- 起きやすいこと
- 茎の折損、葉の損傷による生育停滞。
- 見に行く所
- 茎の倒伏・折れ、葉の傷み具合。
- 露地と施設
- 露地は風の影響を直接受ける。施設は換気過多による乾燥・機械的ストレスに注意。
- 確かさ
- 一般的知見。品種の草姿・茎の強さで差がある。
高温(日最高気温が高く、目安30℃以上)が続き乾燥を伴う
高温・猛暑乾燥・少雨
- 起きやすいこと
- 高温障害(30℃以上が目安)による生育停滞・草勢低下。乾燥が重なると水ストレスも加わる。
- 見に行く所
- 日中の葉のしおれと夕方の回復状況、草丈の伸びの鈍化、株元の土壌の乾き具合。
- 露地と施設
- 露地は高温・乾燥の影響を直接受ける。施設は遮光・換気・かん水で緩和余地がある。
- 確かさ
- データ由来(高温障害30℃以上)。土壌水分は気象からは推定に留まり、現地確認が必要。
塊茎形成開始期
気温が高い状態(日最高・夜間最低とも高め、目安として日最高気温が22℃を大きく超える状態)が続く
- 起きやすいこと
- 塊茎形成が抑制されやすい条件(塊茎形成に適した温度帯はおおむね15〜18℃、22℃以上で形成が抑制されるとされる)。ただしこれは主に地温の影響が大きく、気温はあくまで目安。
- 見に行く所
- 地際の塊茎(イモ)の着生状況、茎葉の生育に対して肥大の遅れがないか(現地・掘り取り確認)。
- 露地と施設
- 施設は遮光・換気で気温上昇を抑えやすい。露地は気象条件に依存し、マルチの色・培土の厚みで地温が変わる(現地確認要)。
- 確かさ
- データ由来(塊茎形成適温15〜18℃、22℃以上で抑制)。地温は気象からは推定できず、現地測定が望ましい。
気温が低めで降雨や高湿度が続く(冷涼多湿)
大雨・長雨高湿度・結露
- 起きやすいこと
- 疫病が急激に拡大しやすい条件(冷涼多湿で爆発的に広がるとされる)。
- 見に行く所
- 葉に水浸状の病斑や葉裏の白いカビ状のもの、茎の黒変、圃場全体での急速な拡大の有無。
- 露地と施設
- 露地は連続降雨・曇天で葉の濡れ時間が長くなりやすい。施設は換気・除湿で葉の乾きを早めやすい。
- 確かさ
- データ由来(疫病=冷涼多湿で爆発的拡大)。発病を確定するものではなく、気象は「出やすい条件」を示すに留まる。予防的な対応は登録内容を確認のうえ判断すること。
塊茎肥大期
乾燥(無降雨が長く続く、または高温晴天で土壌が乾きやすい状態)
高温・猛暑大雨・長雨乾燥・少雨
- 起きやすいこと
- 塊茎内部の空洞や二次成長(イモの奇形・ひび割れ)が出やすい条件。水分安定が最優先とされる時期。
- 見に行く所
- 試し掘りでの内部空洞・二次成長(コブ状の変形)の有無、株元土壌の乾き具合。
- 露地と施設
- 施設はかん水管理で水分を安定させやすい。露地は降雨依存で乾燥が長引きやすく、マルチ・かん水設備の有無で差が出る。
- 確かさ
- データ由来(乾燥=内部空洞・二次成長)。土壌水分・pFは気象からは推定に留まり、現地確認が必要。
過湿(連続降雨・高降水量が続く)
大雨・長雨
- 起きやすいこと
- 塊茎の腐敗、黒脚病が出やすい条件。
- 見に行く所
- 畝間の停滞水、掘り取り時のイモの軟化・変色・異臭。
- 露地と施設
- 露地は降雨の影響を直接受け、排水性(高畝・明渠)で差が出る。施設は降雨の影響は受けにくいがかん水過多に注意。
- 確かさ
- データ由来(過湿=腐敗・黒脚病)。発病を確定するものではない。
連続無降雨のあとに大雨・急な降水で土壌水分が急変する
大雨・長雨
- 起きやすいこと
- 急激な乾湿変動により二次成長・内部空洞・裂開が出やすい条件。
- 見に行く所
- 試し掘りでのイモの変形・ひび、降雨前後での株のしおれと回復の差。
- 露地と施設
- 露地は降雨変動の影響を直接受け、マルチ・排水で緩和余地がある。施設はかん水管理で急変を避けやすい。
- 確かさ
- データ由来(乾燥時の内部空洞・二次成長、過湿時の腐敗の両条件を踏まえた組み合わせ)。一般的知見の範囲。
気温が低めで多湿(曇天・降雨が続く)
大雨・長雨高湿度・結露日照不足
- 起きやすいこと
- 疫病が急拡大しやすい条件(冷涼多湿で爆発的拡大)。肥大期は感染すると地上部だけでなく塊茎腐敗にもつながりやすいとされる。
- 見に行く所
- 茎葉の水浸状病斑・急速な枯れ上がり、掘り取り時のイモ表面の褐色病斑の有無。
- 露地と施設
- 露地は連続降雨で葉の濡れ時間が長引きやすい。施設は換気で葉の乾きを促しやすい。
- 確かさ
- データ由来。発病確定ではなく「出やすい条件」の提示に留まる。防除は登録内容を確認のうえ判断すること。
成熟・収穫期
収穫前後に連続降雨・高降水量が続く
大雨・長雨
- 起きやすいこと
- 土壌水分過多による塊茎腐敗・軟腐、収穫作業の適期を逃しやすい。掘り取り後の付着水分が多いと貯蔵性が落ちやすい。
- 見に行く所
- 圃場の乾き具合(収穫機・人が入れる状態か)、掘り取ったイモの表面の湿り・傷みの有無。
- 露地と施設
- 露地は降雨で収穫適期がずれやすい。施設・雨よけがある場合は収穫時期の調整余地が大きい。
- 確かさ
- データ由来(過湿=腐敗)を収穫期に当てはめた一般的知見。品種・作型で差がある。
乾燥晴天が続く(茎葉枯凋の前後)
乾燥・少雨
- 起きやすいこと
- 茎葉の自然な枯凋が進みやすく、収穫適期の目安になる一方、極端な乾燥・高温はそうか病が出やすい条件の一因とされる(乾燥に土壌pHの高さが重なる場合)。
- 見に行く所
- 茎葉の枯凋の進み具合、掘り取ったイモ表面のかさぶた状の病斑の有無。土壌pHは現地測定が必要。
- 露地と施設
- 露地は天候依存で収穫適期の判断材料になる。施設は被覆による乾湿調整の余地がある。
- 確かさ
- データ由来(そうか病=pH高+乾燥)。pHは気象からは分からず、現地確認が必須。乾燥単独で発病を確定しない。
早霜・低温(収穫前に日最低気温が大きく下がる)
霜・凍害低温
- 起きやすいこと
- 茎葉の枯凋が早まる、または凍害。収穫時期の前倒しを検討する材料になり得る。
- 見に行く所
- 茎葉の黒変・枯れ上がりの急な進行、朝の圃場の霜の有無。
- 露地と施設
- 露地は霜の影響を直接受ける。施設は被覆で緩和できる。
- 確かさ
- 一般的知見。地域・作型(秋作・春作)で差が大きい。
天気が重なると起きやすいこと
冷涼多湿の継続(低めの気温+連続降雨・高湿度)
塊茎形成開始期〜塊茎肥大期にかけて疫病が急拡大しやすい条件が最も重なりやすい。葉の濡れ時間・圃場の停滞水を優先して現地確認し、予防的対応は登録内容を確認のうえ判断すること。
乾燥からの急な過湿(連続無降雨→大雨)
塊茎肥大期に二次成長・内部空洞と、腐敗・黒脚病のリスクが同時に高まりやすい。水分の安定(かん水・排水)の要否を現地の土壌水分で確認。
高温+乾燥(収穫期・成熟期)
そうか病が出やすい条件(土壌pHの高さとの複合)と、収穫作業適期の圃場乾燥が同時に問題になりやすい。pHは気象では判断できず現地測定が前提。
このデータは気象条件から「出やすい状態」を示すもので、病害・生理障害の発生を確定しない。地温・土壌水分・土壌pH・土壌硬度・根圏ECはジャガイモの収量・品質に大きく影響するが、いずれも気象データからは推定に留まり、現地確認(試し掘り・土壌診断)が前提となる。施設では内部環境が支配的で外気象は参考値。数値は品種・地域・作型で補正が必要。防除に触れる場合も、農薬は登録内容を確認のうえ判断すること。
じゃがいもの病害虫が出やすい条件
天気の数字は「この範囲で出やすい」という目安です。条件がそろったら、下の「見る所」を畑で確かめてください。
疫病 病気
- 出やすい条件
- 気温 15〜20℃/葉が濡れている時間 48時間以上/雨が続くと増える
- 時期の目安
- 4〜7月・9〜10月
- 生育の段階
- 生育期・塊茎肥大期
- 作型
- 露地
- 最初に出るサイン
- 葉に水浸状の病斑や葉裏の白いかびが出やすい。冷涼多湿時は急な拡大を確認する
- 見る所
- 水浸状病斑・葉裏の白いかび・茎の黒変・連続降雨
- 被害の重さ
- 重い
- 確かさ
- 高い
- 参考
- 長崎県農林技術開発センター・病害虫・雑草の情報基地
黒脚病 病気
- 出やすい条件
- 雨が続くと増える
- 時期の目安
- 3〜6月・9〜10月
- 生育の段階
- 萌芽期・生育期
- 作型
- 露地
- 最初に出るサイン
- 茎の地際が黒変し株がしおれやすい。過湿後は種いも由来の腐敗も確認する
- 見る所
- 地際の黒変・株の萎れ・種いもの腐敗・排水
- 被害の重さ
- 重い
- 確かさ
- 中くらい
- 参考
- 各県病害虫防除指針
軟腐病 病気
- 出やすい条件
- 気温 28〜32℃/雨が続くと増える
- 時期の目安
- 6〜9月
- 生育の段階
- 塊茎肥大期・収穫期
- 作型
- 露地
- 最初に出るサイン
- 塊茎が軟化し異臭が出やすい。高温多湿や収穫傷の後に確認する
- 見る所
- 塊茎の軟化・異臭・傷口・停滞水
- 被害の重さ
- 重い
- 確かさ
- 中くらい
- 参考
- 病害虫・雑草の情報基地
そうか病 病気
- 出やすい条件
- 乾燥すると増える
- 時期の目安
- 5〜8月
- 生育の段階
- 塊茎形成期・塊茎肥大期
- 作型
- 露地
- 最初に出るサイン
- 塊茎表面にかさぶた状の粗い病斑が出やすい。乾燥期は試し掘りで表面を見る
- 見る所
- かさぶた状病斑・土壌乾燥・土壌pH・試し掘り
- 被害の重さ
- 中くらい
- 確かさ
- 中くらい
- 参考
- 各県病害虫防除指針
粉状そうか病 病気
- 出やすい条件
- 雨が続くと増える
- 時期の目安
- 5〜7月・9月
- 生育の段階
- 塊茎形成期・塊茎肥大期
- 作型
- 露地
- 最初に出るサイン
- 塊茎表面に小さな盛り上がりや粉状の病斑が出やすい。過湿圃場で試し掘り確認する
- 見る所
- 塊茎表面の病斑・過湿・排水・連作履歴
- 被害の重さ
- 中くらい
- 確かさ
- 低い
- 参考
- 各県病害虫防除指針
アブラムシ類 害虫
- 出やすい条件
- 乾燥すると増える
- 時期の目安
- 4〜8月
- 生育の段階
- 生育期
- 作型
- 露地
- 最初に出るサイン
- 葉裏や新葉に群生し葉の縮れが出やすい。乾燥期はウイルス様症状も見る
- 見る所
- 葉裏の虫体・葉の縮れ・モザイク症状・周辺圃場
- 被害の重さ
- 中くらい
- 確かさ
- 低い
- 参考
- 各県病害虫防除指針
二次成長 生理障害
- 出やすい条件
- 雨が続くと増える
- 時期の目安
- 6〜9月
- 生育の段階
- 塊茎肥大期
- 作型
- 露地
- 最初に出るサイン
- 乾燥後の急な過湿でいもの形が乱れやすい。試し掘りで変形を確認する
- 見る所
- 塊茎の変形・水分急変・土壌水分・品種差
- 被害の重さ
- 軽い
- 確かさ
- 中くらい
自分の畑のじゃがいもを、今日の天気と写真で見てもらうなら
AGRIX AI は、作物の写真から病気・害虫・生理障害を見分け、地域の天気予報と生育の段階を重ねて「今日なにを見に行くか」を出すアプリです。このページの内容は、アプリが判断に使っているデータの一部です。
同じ根菜類の作物
天気から探す
このページについて AGRIX AI に入っている作物の「天気への反応」と「病害虫の出やすい条件」のデータを、そのまま読みやすく並べたものです。数値は一般的な目安で、品種・地域・作型で変わります。病害虫の発生を言い当てるものではなく、「出やすい条件」と「見に行く所」を示しています。
農薬を使うときは、ラベルの登録内容と、お住まいの県の病害虫防除所が出す情報・防除指針に従ってください。
作り方:AGRIX AI のデータ(作物66種の天気への反応・22作物の病害虫の条件)から、プログラムで1作物1ページに並べています。文章や数値は足していません。データを直すと、このページも作り直します。
作成:北島真史(RAIXEN・AGRIX AI 開発)。元専業農家(ブロッコリー4ha・ネギ・ズッキーニほか10年)、農業資材店で土壌診断と肥料・農薬の相談を担当、今は米6ha・ネギの兼業農家。著書『直売所で儲かる心理設計』。