イチゴの天気対策と畑で見る所
果菜類・生育期 4段階・天気の条件 11件・病害虫 7件
イチゴが天気で受けやすい影響を、生育期ごとに「こういう天気が続いたら → 起きやすいこと → 見に行く所」の順で並べています。
気象からは「環境」「水分」「生育フェーズ」の段を主に判断する。根圏温度・養液EC・窒素等の施肥状態は気象からは推定に留まり、現地確認が必要。イチゴは施設(ハウス・高設栽培)での促成栽培が主流で、施設では外気象は参考値、内部環境(換気・暖房・遮光・かん水)が支配的。露地栽培は外気象の影響を直接受ける。
生育の基準温度(積算温度の計算に使う下限):データにある積算温度式は「日平均気温-0℃」(基準0℃)を用いる。開花〜完全着色の目安積算温度は380〜450℃(品種例:いばらキッス419℃、とちおとめ約400℃)。参考温度帯として光合成最適20〜25℃・花粉発芽最適22〜26℃があるが、いずれも品種・地域・作型で要補正。
育苗・花芽分化期
夜温が推奨帯(目安5〜10℃)より高い状態が続く
- 起きやすいこと
- イチゴは低温・短日で花芽分化が進みやすい性質があり、高夜温が続くと花芽分化の遅れ・不安定化や、徒長・草勢過多に傾きやすい条件になる。
- 見に行く所
- 新葉展開の速さ、クラウン径・葉柄長のバランス。花芽分化そのものの診断(生長点確認)は現地での確認が必須。
- 露地と施設
- 施設(夜冷育苗等)は温度管理で花芽分化を誘導しやすい。露地・無加温は外気温にそのまま左右される。
- 確かさ
- AGRIX AI の知見(データにある夜温推奨帯)に基づく一般的目安。一季成り・四季成りなど品種の花芽分化特性で差が大きい。
日中の気温が高い状態(目安25℃を超え30℃に近づく)が続く
- 起きやすいこと
- 光合成最適温度帯(20〜25℃)を上回り、生育停滞・徒長に傾きやすい。花粉発芽適温は22〜26℃、30℃以上で花粉稔性低下、35℃以上で生育停止の目安。
- 見に行く所
- 葉色の変化、葉柄の伸長、生長点付近の状態。
- 露地と施設
- 施設は遮光・換気で緩和余地が大きい。露地は天候依存。
- 確かさ
- データにある一般的目安。品種の耐暑性で差がある。
開花・授粉期
気温がミツバチ等訪花昆虫の活動適温帯(目安15〜28℃)から外れる(低温、または30℃以上)
低温高温・猛暑
- 起きやすいこと
- 訪花昆虫の活動が低下し、受粉不良・奇形果につながりやすい条件(1花あたりの痩果数目安200〜300、受精不足で奇形果が出やすい)。
- 見に行く所
- 奇形果の発生率、着果率、訪花昆虫の活動状況。
- 露地と施設
- 施設はハウス内温度を管理できるため送粉環境を維持しやすい。露地は外気温・天候に直接左右される。
- 確かさ
- データにある一般的目安。施設内の実効気温・風速は換気状況で外気象と乖離するため現地確認が必要。
強風・連続降雨が続き送粉昆虫の活動が妨げられる
大雨・長雨強風・台風
- 起きやすいこと
- 訪花頻度の低下による受粉不良・奇形果が出やすい条件。
- 見に行く所
- 施設換気口の開閉状況、降雨時の訪花状況、着果の乱れ。
- 露地と施設
- 露地は風雨の影響を直接受ける。施設はハウス内への影響は小さいが、換気口を閉じることで温度・湿度が上昇しやすい。
- 確かさ
- 一般的知見。
果実肥大・糖度形成期
昼夜の気温差が小さく、高夜温(推奨夜温8℃前後を大きく上回る状態)が続く
高温・猛暑
- 起きやすいこと
- 糖度向上には昼25℃前後・夜8℃前後の気温差が目安とされ、これから外れる高夜温が続くと夜間の呼吸消耗により糖度が乗りにくい条件になりやすい。
- 見に行く所
- 糖度(Brix)の実測傾向、果実の締まり、着色の進み方。
- 露地と施設
- 施設は夜間換気・保温で夜温を調整しやすい。露地は外気依存。
- 確かさ
- データにある目安(品種例:いばらキッス 昼25〜30℃・夜8℃)。品種差が大きい。
飽差(VPD)が低い状態(目安0.3kPa未満)、または相対湿度85%以上が継続する
乾燥・少雨高湿度・結露
- 起きやすいこと
- 蒸散が停滞しカルシウムの葉・果実への転流が滞りやすい条件(AGRIX:VPD0.3kPa未満でCa転流停止、湿度85%以上継続でチップバーン様症状の目安)。灰色かび等の多湿性障害も出やすい条件。
- 見に行く所
- 新葉・葉縁の褐変(チップバーン様症状)、果実・花弁のカビ、朝方の結露や葉の濡れ具合。
- 露地と施設
- 施設は換気・除湿・循環扇でVPD管理(推奨0.4〜0.8kPa)の余地が大きい。露地は連続降雨・夜露で高湿度になりやすい。
- 確かさ
- AGRIX AI の知見(データにある数値)。発生を確定するものではなく、現地確認が必須。
飽差(VPD)が高い状態(目安1.2kPa以上)の高温・乾燥が続く
高温・猛暑乾燥・少雨
- 起きやすいこと
- 気孔が閉じ光合成が低下しやすい条件。
- 見に行く所
- 日中の葉のしおれ、生育の停滞感。
- 露地と施設
- 施設はかん水・換気でVPDを調整しやすい。露地は天候依存で、かん水管理により緩和。
- 確かさ
- データにある一般的目安。
開花からの積算温度(日平均気温の積算、基準0℃)が目安380〜450℃に至る過程で、気温が高め・低めに推移する
- 起きやすいこと
- 品種目安の積算温度(いばらキッス419℃、とちおとめ約400℃)に対し気温が高く推移すると想定より早く完熟が進み、低温が続くと着色・収穫が遅れやすい。
- 見に行く所
- 果実の着色進行率(着色率90%以上が収穫適期の目安)、実際の経過日数との対比。
- 露地と施設
- 施設は加温により積算のコントロールがしやすい。露地・無加温は外気依存で変動が大きい。
- 確かさ
- データにある品種例に基づく目安。品種・地域・作型で大きく異なる。
高温(目安25〜30℃)と低湿度(目安50%以下)が続く
高温・猛暑高湿度・結露
- 起きやすいこと
- ハダニ類が増殖しやすい条件(AGRIX:25〜30℃・湿度50%以下で増殖最適)。天敵を利用する場合は湿度60〜75%が定着に適する目安。
- 見に行く所
- 葉裏のダニ・かすり状の退色、天敵の定着状況。
- 露地と施設
- 施設は暖房期に乾燥しやすく注意。露地は夏季高温乾燥期に注意。
- 確かさ
- AGRIX AI の知見。発生を確定するものではなく、現地の実見診断が必要。
収穫期
気温が高く、果実温が上がりやすい状態が続く
- 起きやすいこと
- 収穫時の果実温は15℃以下が望ましいとされ、高温が続くと予冷の負荷が増し日持ちが低下しやすい条件。
- 見に行く所
- 収穫直後の果実温、収穫後の軟化・傷みの進み方。
- 露地と施設
- 施設は早朝収穫・遮光で果実温の上昇を抑えやすい。露地は直射・外気温に直接影響される。
- 確かさ
- データにある一般的目安。
連続降雨・高湿度が続く
大雨・長雨高湿度・結露
- 起きやすいこと
- 灰色かび病等の多湿性の果実腐敗が出やすい条件。窒素過多と重なるとさらに助長されやすいとされるが、窒素の過不足は気象からは判断できない。
- 見に行く所
- 果実・がく・葉のカビ、収穫果の日持ち。
- 露地と施設
- 施設は換気・除湿で軽減しやすい。露地は収穫適期を逃さない管理が要点。
- 確かさ
- 一般的知見。施肥要因は気象からは推定できず、現地確認が必要。
天気が重なると起きやすいこと
低VPD(目安0.3kPa未満)+高湿度(85%以上)継続
カルシウム転流不足によるチップバーン様の葉障害と、灰色かび等の多湿性障害が同時に出やすい。新葉の褐変とカビの有無を併せて現地確認。
高温(30℃以上)+低湿度(50%以下)
花粉稔性低下・受粉不良と、ハダニ類の増殖が同時に起こりやすい条件。着果率とハダニ被害を併せて確認。
高夜温(推奨帯を大きく超える状態)の継続
糖度形成が阻害されやすいと同時に、多湿を伴えば灰色かび等の発病リスクも高まりやすい。夜間換気・除湿の要否を現地で確認。
連続降雨後の急な好天
施設では換気過多による急激な乾燥、露地では多湿からの急変で、いずれも生理障害・病害が出やすい条件になりうる。株の状態変化を確認。
このデータは気象条件から「出やすい状態」を示すもので、病害・生理障害の発生を確定しない。根圏温度・養液EC・窒素等の施肥管理は気象からは推定に留まり、現地確認・実測が必須。施設栽培では内部環境(換気・暖房・遮光・かん水)が支配的で外気象は参考値。数値は品種・地域・作型で補正が必要。防除に触れる場合も、農薬は登録内容を確認のうえ判断すること。
イチゴの病害虫が出やすい条件
天気の数字は「この範囲で出やすい」という目安です。条件がそろったら、下の「見る所」を畑で確かめてください。
灰色かび病 病気
- 出やすい条件
- 気温 15〜25℃/湿度 90%以上/葉が濡れている時間 5時間以上/雨が続くと増える
- 時期の目安
- 1〜5月・11〜12月
- 生育の段階
- 開花期・着果期・収穫期
- 作型
- 施設
- 最初に出るサイン
- 花弁や果実に褐変と灰色のかびが出やすい。多湿時は花がらと果実接触部を見る
- 見る所
- 花弁の褐変・果実の灰色かび・結露・過繁茂
- 被害の重さ
- 重い
- 確かさ
- 高い
- 参考
- 病害虫・雑草の情報基地・愛知県病害虫防除室
うどんこ病 病気
- 出やすい条件
- 気温 18〜25℃/乾燥すると増える
- 時期の目安
- 2〜5月・10〜12月
- 生育の段階
- 生育期・開花期・収穫期
- 作型
- 施設
- 最初に出るサイン
- 葉裏や果実に白い粉状の病斑が出やすい。乾燥ぎみの施設で確認する
- 見る所
- 葉裏の白斑・果実表面・新葉の巻き・湿度変動
- 被害の重さ
- 重い
- 確かさ
- 中くらい
- 参考
- 各県病害虫防除指針・農研機構
炭疽病 病気
- 出やすい条件
- 雨が続くと増える
- 時期の目安
- 6〜9月
- 生育の段階
- 育苗期・定植期
- 作型
- 露地・施設
- 最初に出るサイン
- クラウン部や葉柄に黒褐色の病斑が出て株がしおれやすい。高温期の雨後に苗を確認する
- 見る所
- 葉柄の黒褐色斑・株の萎凋・苗床の湿り・雨はね
- 被害の重さ
- 重い
- 確かさ
- 中くらい
- 参考
- 各県病害虫防除指針・農研機構
萎黄病 病気
- 出やすい条件
- 雨との関係は薄い
- 時期の目安
- 5〜10月
- 生育の段階
- 育苗期・定植期・生育期
- 作型
- 施設
- 最初に出るサイン
- 下葉から黄化し株全体の生育が悪くなりやすい。気象だけでなく苗と土壌履歴を確認する
- 見る所
- 下葉の黄化・株の萎縮・導管褐変・苗の由来
- 被害の重さ
- 重い
- 確かさ
- 低い
- 参考
- 各県病害虫防除指針・農研機構
ハダニ類 害虫
- 出やすい条件
- 乾燥すると増える
- 時期の目安
- 3〜6月・10〜12月
- 生育の段階
- 生育期・収穫期
- 作型
- 施設
- 最初に出るサイン
- 葉裏で増え葉表がかすれたように退色しやすい。乾燥期は下葉から確認する
- 見る所
- 葉裏の虫体・葉のかすれ・糸・下葉
- 被害の重さ
- 重い
- 確かさ
- 中くらい
- 参考
- 各県病害虫防除指針
アザミウマ類 害虫
- 出やすい条件
- 乾燥すると増える
- 時期の目安
- 4〜6月・9〜11月
- 生育の段階
- 開花期・収穫期
- 作型
- 施設
- 最初に出るサイン
- 花の中に小虫が入り果実の褐変や着色むらが出やすい。花を重点確認する
- 見る所
- 花内の虫体・果実の褐変・着色むら・侵入口
- 被害の重さ
- 中くらい
- 確かさ
- 低い
- 参考
- 各県病害虫防除指針
奇形果 生理障害
- 出やすい条件
- 気温 15〜28℃/雨との関係は薄い
- 時期の目安
- 1〜4月・11〜12月
- 生育の段階
- 開花期・着果期
- 作型
- 施設
- 最初に出るサイン
- 受粉が乱れると果実形がいびつになりやすい。低温や高温時は訪花昆虫の活動を確認する
- 見る所
- 奇形果率・開花状況・訪花昆虫・温度偏差
- 被害の重さ
- 中くらい
- 確かさ
- 中くらい
自分の畑のイチゴを、今日の天気と写真で見てもらうなら
AGRIX AI は、作物の写真から病気・害虫・生理障害を見分け、地域の天気予報と生育の段階を重ねて「今日なにを見に行くか」を出すアプリです。このページの内容は、アプリが判断に使っているデータの一部です。
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天気から探す
このページについて AGRIX AI に入っている作物の「天気への反応」と「病害虫の出やすい条件」のデータを、そのまま読みやすく並べたものです。数値は一般的な目安で、品種・地域・作型で変わります。病害虫の発生を言い当てるものではなく、「出やすい条件」と「見に行く所」を示しています。
農薬を使うときは、ラベルの登録内容と、お住まいの県の病害虫防除所が出す情報・防除指針に従ってください。
作り方:AGRIX AI のデータ(作物66種の天気への反応・22作物の病害虫の条件)から、プログラムで1作物1ページに並べています。文章や数値は足していません。データを直すと、このページも作り直します。
作成:北島真史(RAIXEN・AGRIX AI 開発)。元専業農家(ブロッコリー4ha・ネギ・ズッキーニほか10年)、農業資材店で土壌診断と肥料・農薬の相談を担当、今は米6ha・ネギの兼業農家。著書『直売所で儲かる心理設計』。